専門用語をわかりやすく説明するには。相手の仕事から伝える例文
専門外の人への説明は、用語の定義だけでなく相手の仕事への影響から。API連携の例文、説明の順番を示す図解、たとえ話の注意点、言い換え練習を紹介します。

この記事のポイント
専門用語を説明するときは、相手が何を知っていて、説明後に何を判断・操作するのかを確かめます。その仕事に関わる変化を先に伝え、必要な用語だけ短く定義しましょう。用語を日常語に替えても、条件や限界まで消さないことが大切です。
- 役職だけで知識を決めつけず、相手が知っている範囲を確認する
- 仕事への影響、必要な仕組み、判断に必要な条件の順に説明する
- たとえ話は実際の仕組みと異なる点も添えて使う
まず、何のために説明を聞くのかを確かめる
専門外の人に話すとき、用語を一つずつ定義するだけでは、話が長くなることがあります。相手が知りたいのは仕組みの全体かもしれませんし、「明日から自分の操作が変わるか」だけかもしれません。先に説明の目的をそろえます。
「今日は導入するかどうかを判断したい、ということで合っていますか」「操作方法と、費用への影響のどちらから説明しましょうか」。こう聞くと、説明に入れる範囲を決められます。職種だけで詳しさを決めつけず、今回の仕組みをどこまで知っているかも確かめます。
GoogleのTechnical Writing教材では、読み手がすでに持つ知識と、仕事をするために必要な知識を分けて考えます。文章のための考え方ですが、ここでは会話前の説明範囲の整理に応用します。
仕事への影響から、必要な仕組みへ進む
技術を説明する側は、内部で何が起きるかから話したくなることがあります。相手が導入の判断をする場面なら、まず仕事にどんな変化があるかを伝え、その説明に必要な仕組みを補います。
仕事に起こる変化
今の作業の何が変わるか。変わらない範囲も具体的に伝える。
変化を支える仕組み
必要な用語を一つずつ説明し、入力から結果までをつなぐ。
条件・限界・確認事項
対象外のデータや確認が残る点、相手に判断してほしいことを示す。
たとえば「キャッシュを使います」という一文だけなら、相手は何を判断すればよいか分かりません。画面の表示速度を改善する説明なら、「同じデータを毎回取りに行かず、一時的に保存したものを使います。画面に新しい情報が反映されるまでの時間も確認します」と補えます。具体的な保存時間は、実際の設計を確認して伝えます。
API連携を、営業担当者に説明した例
次は、受注システムから顧客管理システムへ情報を渡す、架空の仕組みです。「連携できる」という表現だけで、すべての情報が自動でそろうと受け取られないようにします。
整理する前
API連携を使って受注データを同期します。顧客管理側でマッピングして、エラーがあればリトライする想定です。
整理した後
受注日と金額を、顧客管理の画面へ手入力せずに渡す仕組みを作ります。システム同士が情報をやり取りする窓口をAPIと呼びます。今回は受注データを一方向に送る設計で、顧客管理側で直した内容は元には戻りません。送信に失敗した場合の確認担当は、これから決める必要があります。
この例で相手に必要なのは、「API」の略称の展開や通信方式の一覧ではありません。どの手入力が減り、どの確認作業が残るかです。一方、接続方式を設計する担当者と話すなら、処理のタイミングやエラー時の動きなど、より詳しい内容が必要になります。
図を使うなら、矢印が何を表すかも言う
2つの箱を矢印で結んだだけでは、誰が何を送るのか分かりません。「左の受注システムから、右の顧客管理へ、受注日と金額を送ります」と、指している対象を言葉にもします。一方向の設計を両矢印で描かないことも、説明の正確さに関わります。
自分の専門用語を、一つ説明してみる
最初は、説明したい用語を一つに絞ります。相手にしてほしいことが書けない場合は、用語の説明から始める必要があるかを見直してみましょう。
ここで、ひとつ練習
架空の職場で、見積書の変更履歴を残す機能を導入します。変更前の版を確認できますが、削除したファイルの復元には対応していません。機能を初めて使う同僚へ、できることと対象外のことを説明してください。
- 伝えることを、下のメモに短く書きます。
- スマホの録音などを使い、30秒〜1分を目安に声に出します。
- 確認する点をひとつ選び、もう一度言い直します。
メモはこのページ内だけで使います。保存されないため、残したい場合はコピーしてください。
振り返るポイント
- 専門用語を知らなくても、仕事で起こる変化が分かるか
- できる範囲とできない範囲を混ぜていないか
- 相手が次に判断・操作するための情報を残せたか
たとえ話と「分かりましたか」の使い方
たとえ話が必要なら、どの部分が似ているのかを限定します。「APIは受付窓口のようなものです」と言うだけでは、窓口で頼めば何でも処理してもらえる印象を与えるかもしれません。「決められた種類の依頼を受け取る点が似ています。ただし、対応できる項目は事前に決まっています」と補う方法があります。
説明の後は、漠然と理解を問うより、実際の作業に戻ります。「受注情報を修正した場合、どちらの画面を使う運用にしましょうか」のように、認識をすり合わせます。相手を試験するために言い直させる必要はありません。操作の説明なら、同じ画面を見ながら次にすることを一緒に確かめられます。
必要な説明を残したまま短くしたい場合は、話を短くまとめる練習で、今回の説明をもう一度整理できます。
よくある質問
専門用語は全部なくした方がよいですか?
相手が今後使う用語は残し、最初に短い説明を添える方法があります。資料や画面に出てくる正式な名称まで別の言葉にすると、後で探しにくくなる場合があります。
初心者向けに話すと失礼になりませんか?
知識を推測して説明を始めず、「この仕組みは、どのあたりまでご存じですか」と確認できます。既に知っているところは短くし、今回必要な条件や変更点に時間を使います。
たとえ話を作れないと、分かりやすく説明できませんか?
たとえ話は必須ではありません。実際の画面、操作の前後、入力と出力を見せる方が合う場面もあります。無理に別のものに置き換えず、相手の仕事で起こることを説明してみてください。
参考資料・出典
- Google Technical Writing — Audience
読み手の既存知識と必要な知識を分け、語彙を調整する考え方を会話の準備に応用。本文のシステム構成・会話・練習問題は架空の例です。
参照確認日:2026年9月12日。例文・図解・練習問題は説明用に制作したもので、受講者の改善実績を示すものではありません。

次に練習するときのために



